TRPG
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「サクラガミ」リプレイ メイン
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Scene3.夕暮れの三段重−メイン
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ST シーン表(8) > 凄まじい人混み。喧噪。影の世界のことを知らない無邪気な人々の手柄話や無駄話が騒がしい。
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雨上がりの春の夕暮れ、街は人で溢れかえっていた。蛍の左腕に巻かれた包帯は、かなり目立つはずなのだが、蛍に目を向ける人は一人もいない。彼もまた忍び、気配を消す技は心得ていた。するりと角を曲がって裏路地を通り、一人桜の丘に向かう。おでぇとの下見、というわけだ。
丘の頂上へ続く坂道に差し掛かったころ、蛍はもう一人、丘にやってくる人影に気づいた。愛鶴である。
「あ。森部蛍じゃないですか。」
「お? 藍原じゃん。なんでこんなとこいんの?」
「……内緒です。」
二人の足並みが揃う。
「藍原愛鶴的にはむしろ、なぜ森部蛍がいるのか気になるところです。」
「あ、俺はサクラガミのことを調べにきたんだけどな。ほら、よく言うじゃん?テキーラなんとかってやつ。」
敵を知り己を知れば百戦危うからず、と言いたいらしい。
「そうそう、それそれ。」
原文は「知彼知己者、百戰不殆」、孫氏の言葉である。
「今の誰?」
「68番目の近くの人です。」
「あー……俺も電波受けとっちったかな。ま、そんなわけで調べにきたってわけさ。」
丘を登りきると、一本の桜の木がはらはらと、花びらの雨を丘の上に降らせていた。いつ見ても、異様に大きく育った桜の木だ。その異形の桜に触れ、サクラガミの痕跡を読み取る。
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2D6>=5 (判定:呪術)
(2D6>=5) > 7[2,5] > 7 > 成功
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「なるほどな……道理でうちの門下生が太刀打ち出来ないわけだ……。」
(アイツ、意気揚々と出て行ったけど、相手の子は別の奴が好きって言ってたからなぁ。)
「サクラガミ。どうでした?何かわかりましたか?」
「もちろん。うちの門下生がやられた理由がわかったよ。」
そう言って、蛍は愛鶴にサクラガミの秘密を語った。
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【サクラガミの秘密】サクラガミは、通常の攻撃では倒せない。命中判定に感情修正がつけられた攻撃以外、サクラガミの【生命力】を0にする効果は全て無効化される。
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「これは……藍原愛鶴の天敵ですね。」
さらば【禍供犠】。そう、普通に考えれば、愛鶴はサクラガミに禍供犠を使えない。そして禍供犠を使えなければ、愛鶴は何もできないに等しい。
「そうらしいな。でもまぁ、意外といけるんじゃないか?」
「意外といける。ですか?」
「意外と。どうなるかはわかんないけどね。」
「そうですか……わかりました。では藍原愛鶴は森部蛍の言葉を信じます。ところで……。」
三段重を差し出す愛鶴。弁当らしい。
「どうせなので先ほど作った弁当がここにあります。食べますか?」
本番は明日だというのに、気合い入りすぎではないだろうか。
「お、丁度昼飯食い損ねてたんだよな。ありがたく。」
「はい!」
相変わらず真顔である。喜んでいるのか怒っているのか、まあ喜んでいるのだろう。
「あ、68番目。ここでシーンエンドしましょう。キリもいいですし。」
わざわざ68番目出してこなくていいから!
「ま、飯ぐらいゆっくり食わしてくれるだろ。いっただきまーす。」
Scene4.沈む夕日に頬染めて−メイン
藍原愛鶴は、魔術師である。平行世界の藍原愛鶴を呼び出し、受けた攻撃のダメージを肩代わりさせる。そのためには、サクラガミと感情を結ばなければならない。
先ほどわかったのは、感情の後押しがなければサクラガミを倒せないということ。藍原愛鶴は、森部蛍とも感情を結ばなければならないのだ。そしてその時間は、ない。
「でもまぁ、意外といけるんじゃないか?」
森部蛍は、そう言った。その言葉の真意はわからない。が、藍原愛鶴は、森部蛍の言葉を信じようと決めた。
桜木の下。暮れ泥む木と人。赤黒く差し込むその光は、長い長い影法師を作る。
「………しかし、随分と、随分と大きな木です。」
藍原愛鶴が、つぅと木に触れる。と、嫌な感じがする。粘着く、べっとりとした、嫌ぁな雰囲気。
背筋に氷が入った感じで、思わずビリビリしてしまう。
「御神木って感じの木だよなー、いつみても。」
重箱と箸を手に、森部蛍が言う。
「御神木…ですか。たしかに見た目はいいかもしれないですけど、今ここにあるのは吐き気を催す邪悪だと藍原愛鶴は断言できます。」
「なんでも昔、一人の女の子の手も握れずに死んだ男がなんとかかんとかっていう伝説があったような気がするな。」
「童貞拗らせてるだけですねそれ。そして暗い部屋で一人寂しく春画に思いを馳せているのですよね……かわいそう……歪みますね、確実に。」
「昔も昔だからなー。記憶で……とかって時代かもなー。」
「なおさら惨めです。だからこんなにべったりとした嫌な感じが……。」
サクラガミのボス力がだだ下がりである。
「除霊でもしたらもっと綺麗になるかもな」
桜の木に貼り付いている、サクラガミの呪い。それを感じ取るため、藍原愛鶴は、再び桜を見上げて指を伸ばした。
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2D6>=5(判定:呪術)
(2D6>=5) > 7[3,4] > 7 > 成功
藍原愛鶴:ET 感情表(1) > 共感(プラス)/不信(マイナス)
サクラガミ:ET 感情表(2) > 友情(プラス)/怒り(マイナス)
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サクラガミは当然怒りである。こんだけ好き勝手言われたらキレる。
「どう考えても不信しかないと藍原愛鶴は思うのです。86号もそう思いますよね。」
(こくこく)
「ほら。」
「う。うん。」
「何ですか森部蛍。」
「いやまぁ、不信しかないのはわかるんだけども。」
「はい。」
「自分に同意求めて自分で返すとイタい子っぽいから。」
「森部蛍は藍原愛鶴の事をそんなに見てくれてるのですね。」
すげー無表情。
「もう、ばか。」
(うわぁ)
「あ。今『うわあ』って思いましたね。大丈夫です。藍原愛鶴も森部蛍のことをちゃんと見てますよはあと。」
無表情なのでなかなかそうは見えないが、藍原愛鶴は、デレているつもりなのである。
「……こうデレデレしにいくのも辛いものがありますね。」
「お。おう。ありがと。」(辛いんだ)
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